若いときのファッションの特権といえば、何と言っても規制が少ないことです。歳を取るにつれて、社会のルールというものは確実に行動や立ち居振る舞いを制限してきます。その強制的ともいえるルールによって洗練される部分もあるので、一概に悪いというわけではありませんが、若いときにハメをはずしたり思い切ったことをして実験しておくことは大切です。着こなしにおいてもこれは大いに言えることです。その時代時代の流行や社会的なムードに、もちろん10代だって影響を受けるわけですが、そのなかでも大胆にファッション実験を行えるのは若い世代。大人ほど金銭が自由にならないのというゲームの縛りがあるものの、それこそが知恵とセンスの見せ所でもあるわけです。着こなしの基礎は10代で出来てしまうといっても過言ではありません。たとえ思い通りのファッション・アイテムがすべて手に入らなくても、頭の中には確実に自分のテイストが形成されてくるからです。多少の失敗も若さがカバーしてくれます。この年代を過ぎると、自分のテイストよりも周囲の受け(あらゆる意味において)を狙った着こなしをせざるを得ない状況が必ず訪れます。その時期が来る前に、自分の好みだけに忠実になれる理想の時間を楽しむべし。