男性ファッションの着こなしとは何でしょうか。
スーツについて考えてみましょう。一般にスーツは無地かストライプです。
無地のスーツの場合、無地のシャツとタイ、無地のシャツと柄物のタイという着こなしはよく見られる組み合わせです。ところが、柄のシャツに柄のタイ、またはストライプのスーツに柄のシャツまたはタイとなると、どうしてもうるさい感じがします。柄物同士が衝突してしまうのです。目立たないストライプに無地のシャツ、そして柄物タイですと、柄同士が隣り合うことはないため、幾分うるささは軽減されます。ただこの場合も、タイはできれば小紋や水玉の方が落ち着きます。ストライプスーツにストライプのタイは、場合によってはしつこく感じられます。ストライプタイを効果的に締めるには、スーツやシャツを無地にするとしっくりきます。
むろんスーツのみならず、他のアイテムでも同じことが言えるでしょう。男性のファッションとは、地味でかつ基本的なアイテムを、絶妙のバランスによって着こなし、また着崩して行くものです。女性のファッションほどには、デザインや色柄のバリエーションはないけれど、一つひとつの基本アイテムをどうコーディネートして、どうやって全体のバランスを保つか、それにはテクニックが求められます。そして、そのテクニックの部分にこそ、その人の生き方、考え方、そして服装哲学が息づいているのです。