撮影とは、カメラマンが自分の思った通りの写真を作り出すものです。
ですので、モデルはそのカメラマンの意識の中に組み込まれ、カメラのレンズ越しに、完成された一つの芸術品のように写真という形で写る事を要求されます。
時には幸せに満ちた新婦のように、時には無機質な人形のように、又、時には何かを訴えかけるように。
自分の意思等関係なく、それをこなさなくてはいけません。
どんなに暑くても汗をかかずに、寒くても鳥肌ひとつたてない。
華やかなように見えて、案外モデルとは過酷な職業なのかもしれません。
けれど、日頃から自分のメンテナンスを心がけて、常に食生活、体調管理に気を配らなければいけないので、心も体も前向きに鍛えられる事は間違いないでしょう。
その何れかを疎かにしてしまうと、顕著に現れてしまうからです。
勿論、カメラを向けられた時に感じる快感は、何物にも代え難いものである事も否めません。
そんなモデルでも、人間です。
恋をすれば失恋もします。
失恋をして一晩中泣く事もありますが、次の日には何事もなかった涼しい顔をして撮影に挑むのです。
そして、それが出来るようになれば、もう一人前です。